2017.05.22 | Blog
こんばんは。
ラルドワーズの武丸でございます。
本日もたくさんのお客様にお越しいただき、感謝の気持ちでいっぱいです・・・
本当にありがとうございました。
今日のテーマは、『一言付け加える』です。
お客様がお帰りの際、お見送りをするのですが、
その時、お声掛けする言葉は当然、『ありがとうございました!』であります。
ラルドワーズは『家内製手工業』ゆえ(笑)、お見送りの後すぐに、店内のお客様のサービスを
続けなければなりませんので、なかなか余裕を持ってお帰りのお客様とお話しができないのが現状です。
、
・・・しかし私は余裕のある時、『ありがとうございました!』の後に、こう付け加えることにしています。
『どうぞ良い一日をお過ごし下さいませ。』
これを言うと大抵のお客様は、違和感を感じるのか、一瞬戸惑った表情をされることが多い。
しかし、お帰りの際のお客様の後姿に、心の翳りのようなものは感じ取れません。
どうやらこれは、言葉自体は受け入れられているのだが、100%腑に落ちたわけではない、
ということなのかな・・・と私は解釈をしています。
要は慣れてないんですね、この言葉に・・・
英語では、『Have a nice day!』という言葉が日常的に使われていますよね。
フランス語でも、さよならの挨拶の後に、『Bonne journée !(ボンヌ・ジュルネー)』という言葉が頻繁に登場します。
どちらも『良い一日を!』という意味になるのですが、
どうして日本では、この言葉に馴染みがないのでしょう?
一言付け加えることによって、相手を思いやる気持ちが増幅して伝わる可能性が出てくるわけです。
だからこの『付け加え言葉』を利用しない手はないと思うのですが・・・
皆さんも日常生活の中で、
普段の会話の後に、ちょっとした『付け加え言葉』を添えてみてはいかがでしょう?・・・
特に『お疲れ様。』とか『さようなら。』の後に添える言葉は、
結構相手の心に響きそうな気がします。
それでは、皆さん、おやすみなさい。
『明日が皆さんにとって、良い一日でありますように・・・』
P.S.
今日も朝から仕込みに全力中のシェフ。
2017.05.21 | Blog
こんばんは。
ラルドワーズの武丸でございます。
長年フランス料理に携わってきましたので、
多少はフランス語に触れることになります。
喋れる訳ではありませんが、聞き取り位なら・・・
・・・これも出来ません(泣)
しかし、文法はメニューの作成等必要に迫られましたので多少は勉強しました。
・・・その勉強中にふと思ったのですが・・・
フランス語と日本語は、なんか似てるな~ってことなんです。
例えば、英語で言う所の、『I love you.』。
・・・日本語なら、『私はあなたを愛しています。』ですが、これがフランス語なら、
『Je t’aime.』(ジュテーム)となります。
ん?何が言いたいかって?
英語なら・・・『私は(I)』+『愛しています(love)』+『あなたを(you)』という順番で、
相手に言葉の情報が伝達される訳ですが、
日本語とフランス語の場合は・・・『私は(Je)』+『あなたを(tu)』+『愛しています(aime)』という順番になるわけです。
つまり英語は、『主語』+『述語』+『目的語』で、
日本語・フランス語は、『主語』+『目的語』+『述語』という順番。
『私はっ!』と宣言してから、英語の場合は『愛していますっ!』という自己の思考・行為を述べることによって、
その『愛していますっ!』の対象に対して、注意を喚起するという表現。
日本語・フランス語の場合は、『私はっ!』の後に聞いて欲しい対象(『あなたを』)を指定して、
あらためて自分の思考・行為を述べるという表現・・・
どちらが良い・悪いというわけではなく、もちろん優劣の対象になるわけでもありません。
当然例外もありますので、一概には言えないのですが、
相手に『伝える』表現方法の、このちょっとした違いが、人間関係にどのような影響を与えるのか、
とても興味深く思っています。
それでは皆さん
おやすみなさい・・・
P.S.
仕込中のシェフです。忙しい最中の一枚。
この笑顔は、余裕の笑顔ではなく、この忙しいときに何しとんじゃ!という怒りを含んだ笑顔です(汗)
2017.05.20 | Blog
こんばんは。
ラルドワーズの武丸でございます。
今日は、『サービス人の資質』についての考察を少々。
・・・この業界に限ったことではないと思うのですが、
私の経験から、サービス人は大きく2つのタイプに分かれるのではないかと思っています。
それは・・・
『人が好きだから、人に接する仕事をする』人間と、
『人に接するのが苦手だから、それを克服する為に仕事をする』人間。
・・・数年前でしょうか、『鏡の法則』という本がベストセラーになりましたね。
『人は、自分を映し出す“鏡”である。』・・・的な内容であったように記憶しています。
その法則に従えば、『人が好きな人』は『自分が好きな人』となり、
『人に接するのが苦手な人』は『自分に接するのが苦手な人』ということになります。
一般論から言えば、『人が好きな人』の方が、この業界には向いているでしょう。
お客様の立場として、人が好きだっ!という人に接客されたら、そりゃ嬉しいですよね。
お客様もその人が好きになるから、サービス人もますますお客様のことが好きになる・・・
まるで『倍々ゲーム』のように、喜びは膨らんでゆくことになります。
これってサービス人としては、最高のパターンですよね~・・・
・・・しかし私は、『人に接するのが苦手だから、それを克服する為に仕事をする』人間に、
サービス人としての本当の価値を置きたいと思っています。
なぜなら、『克服』する姿勢こそが、人間の成長につながるものだからです。
そう、・・・成長を意識することの中に、人間本来の価値があるのだと、私は思っているからなのです。
この2つのタイプのそれぞれの価値観は、お互い相容れないものでしょう。
しかし、『お客様に喜んでいただく』という目的は共有している・・・
北海道にいる人と、沖縄にいる人が、同じ北極星を見つめながら進んでいく・・・感じですかね。
この『進んでいく』という行為こそが、人間性の成長であり、価値観の幅を広げていくことにつながるのだと
私は思っているのです。
在るものに満足せず、己を客観的に見つめ、偏った自分の心を絶えず矯正ししていく・・・
この様な生き方に私は魅力を感じています。
すみません、今日はまとまりが無かったですね(汗)
・・・それでは皆さん、おやすみなさい・・・
P.S.
新種の昆虫が、これは餌なのかどうかを考えている・・・写真ではありません。
入荷したスイスチャード(不断草)を水洗いしているシェフです。
2017.05.18 | Blog
こんばんは。
ラルドワーズの武丸でございます。
前回、『車海老のアメリケーヌ・グラタン』の衝撃について書きましたが、
そもそもなぜソースを、後から後から舐めたくなったのか?
・・・それは『美味しすぎる』からだったと私は思っているのです。
そもそも『アメリケーヌ』とは、フランス料理のソースの一種で、海老のエッセンスを凝縮したものなのですが、
グラタン(チーズを乗せてオーブンで焼く)にすることによって、味に濃厚さが加わり、さらに美味しくなる・・・
私は、これにやられた訳です。
このようにフランス料理は、料理を『美味しすぎる』ものに変える技法に長けたものだと言えると思います。
例えば海老であれば、刺身にしたり、加熱して寿司にしたり、あるいは天婦羅にしたり・・・
そのままに近い形で食べるのが美味しいと思うのですが、
フランス人は、それには飽き足らなかった。
海老の殻を炒めて、香味野菜を加え味を補填し、さらに煮詰め、生クリームで伸ばす。
・・・この『煮詰める』という作業に、フランス人の民族性が現れていると思うのです。
ただ海老を食べて美味しいではなく、もっともっと美味しくなるはずだ・・・
そこで彼等は、『火』を使って、海老から水分を抜き、そのエッセンスを抽出しようとした訳です。
そして、焼いた海老の上に、そのエッセンスをかけて食べたら、それは海老だけよりも美味しかった・・・
この様に、フランス料理の要諦として、『火』と、素材に対する『探究心』が挙げられると私は思います。
素材の水分を抜く・・・という作業に、もともと狩猟民族であった彼等の『猛々しさ』を感ぜずにはいられません。
対照的に、日本料理は『水』の料理と言えるのではないでしょうか?
日本料理の『だし』は、昆布、かつお節で調味するのですが、
成分的には、おそらく99%以上は『水』。
この『水』の上に、1%の味のエッセンスを乗せて『美味しい』と言わせる技術はすごいと言わざるを得ません。
この様に、フランス料理と日本料理、
『火』と『水』との対比に、それぞれの民族の文化観の相違が現れていると私は思うのです・・・
続きは又の機会に・・・
それでは皆さん、おやすみなさい・・・
明日が皆さんにとって幸せな一日でありますように・・・
P.S
再び、つまみ食いにチャレンジ!・・・しかし・・・
2017.05.18 | Blog
こんばんは。
ラルドワーズの武丸でございます。
皆さん、今日も一日お疲れ様でした・・・
今日は、私が初めて『フランス料理』と出逢った時のお話を少々・・・
当時私は20代前半で、大阪・梅田のド真ん中にあった、
当時流行の倉庫を改装したような、おしゃれなレストランに勤めておりました。
数百種類のカクテル、世界各国のビール、そして、おつまみ的な料理から、本格的な料理までを
幅広く取り揃えた欧風料理の数々・・・
その中に、思い出の料理はありました。
『車海老のアメリケーヌ・グラタン』という一品です。
そのとき私は洗い場にいて、テーブルから帰ってきたお皿を一生懸命洗っておりました。
するとその中に、ソースだけが残された『車海老のアメリケーヌ・グラタン』があったのです。
すごく気になったので、いけないとは思いながらそのソースを指ですくって舐めたところ・・・
んん~っ?! ・・・ なんや、この味はっ?!
あまりの美味しさに、雷に打たれたような衝撃を受けました。
その後、何度も何度も、指ですくっては舐め、すくっては舐め・・・
味を確かめようと必死でしたが、その時は、身体の反応を抑えることができなかったと記憶しています。
・・・ソースが話しかけてきました。
『どうじゃ!ワシは美味しいじゃろ?もっともっとワシを舐めんかい!』
まるでソースに脅迫されているような感覚(笑)。
この時の感覚は、今も身体の中に染み付いていて離れようとはしません。
・・・この経験が、私のフランス料理探求の旅のスタートとなったのです。
フランス料理って、どれだけ凄いんだ? この美味しさの正体は一体何なんだろう?
この味の凄さを、お客様に対してどう表現したら良いんだろう?・・・
その後、色々な職場でサービスに携わりましたが、
これらの問い掛けを常に心の中で繰り返しながら、仕事をしてきたように思います。
そしてそれは、今も続いているのです・・・
次回は、このフランス料理の美味しさの正体について、自分なりの考察を述べたいと思います。
お楽しみに!
・・・そうそう、ラルドワーズにお越しいただければ、もっともっと詳しい話をさせていただけるかと(笑)
それではおやすみなさい・・・
P.S.
シェフが、『三良坂フロマージュ』さんのチーズを使った新しい料理を試作中のひとコマ。
つい興味があったので、つまみ食いをしようとした瞬間!!・・・
・・・この後の惨劇についてはコメントを差し控えたいと思います(笑)